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2022/07/14 14:41



セレクトショップのバイヤーにデコントラクティーのブランドをプレゼンするときに、
(彼らに響くか響かないのかわかりませんが)物語があることを話ます。

多くの有名な(主にヨーロッパの)アパレルブランドには物語なんてものはありません。
むしろコンセプトもないブランドが多いです。
クリエイティブディレクターが決めたシーズンコンセプトはありますが、ブランドとしての大きなコンセプトを言葉にしているメゾンはないのです。
そのブランドらしさは、クリエイティブディレクターらしさでもあるわけで、伝統的なデザインの方向性(創業者の歴史的なイメージや、工場やパタンナーの得意・不得意もあります)はあるにしろ、ディレクションでけっこうな印象が変わります。
*感度を上げる(保つ)コツです。

しかし、デコントラクティーにはコンセプトもありますし、物語もあります。

これはどういうことなのかを説明したいと思います。

まず1つめに、デコントラクティーはクリエイティブディレクターのように一人のデザインナーのクリエイションを最大限に発揮しているデザイナーズブランドではない、ということです。
DCブランドの影響は受けていますが、デザイナー1人の感性を全面には押し出していません。
なぜなら、デコントラクティーはチームで作っていますので、チームのメンバーの感性も入るからです。
アパレルメーカーが展開するブランドよりはずっと少人数で企画をしていますが、それでもアイデアを出し合う中で、意見がぶつかることも、お互い妥協することもあります。

スタート時からそうですが、こういうスタンスですと、まとめて同じ方向に歩ませる必要があります。
その手段が「コンセプト」ということになります。
多彩な黒 と 気位の高い服 という2つのコンセプトから逸脱してしまいそうなときに、(例えば黒ばかりで色展開をしたくなったとき、モードではなくストリートカジュアルを作りたくなったときなど)、当初の立ち位置に戻ることができます。
そして、ディレクションをしている私がいてもいなくても、デコントラクティーが生き残ることができます。

2つ目に、デザインは強めに発信しますが、基本はお客様に寄り添いたいと考えているからです。
媚びるとも少し違いますが、誰も着たくない服を作ってもしょうがないので、完全にリアルクローズです(最近死語ですかね)。
デコントラクティーはアート作品ではないですから、日常の彩になるような服でなければいけません。
2つのコンセプト(=ブランドイメージ)が、お客様の共感を得て、かつ、期待に応えられるような(シンプルではない)デザインであるように、いつまでもいれたらと思います。
その為には、コンセプト(癖のようなものとも言えます)が必要なのです。

3つ目は物語についてですが、音楽にしても料理にしても、作品というものには語られない背景があるものです。
物語は作り手から言葉で伝えられたり周りの人から噂で流れて耳入ったりします。
その物語は知れば知る日ほど面白く、より深く掘り下げる楽しさがあるものです。
本来、服をつくっていく行程(生地~パタン~縫製)の説明をしていくものですが、デコントラクティーの場合はその服にまつわる物語もひとつひとつ作っています。
それは、服のデザインや仕立ての良さで着てくださるのはもちろんのこと、更にデコントラクティーの物語(いい話ばかりではないですが)が選ぶきっかけになればと思っています。

「忘れられた魔女」がつくる服は、着るべき人のところに届く・・・

そんな物語ですが、私は誰しも人生の主人公だと考えており、そのような価値観で世界を見ていることから生まれました。
自分がいなくなったときには、自分の意識は消えてしまうことで世界が残っているのかすらもわからなくなります。
自分がいなくなっても、誰かが覚えててくれたりすればいい、という人もいますが、覚えていていくれているのかどうかも、もはや消えた後ではわからないのです。
だから、自分の人生は自分だけのものですし、自分にとっては他人は脇役であり、どれだけ納得して生きていくか、だと考えています。
そんな物語の主人公たちに、魔女の服が届くのだと思います。


ブランド立ち上げる時に、私にはこのような感覚がずっとあって、服だけでなく、その考え方(思想とまではいいませんが)すらも物語に乗せて表現したいと考えました。


大量生産・大量廃棄が悪とされている現代ですが、自分が心地よく生きることが大切です。
私は自分の心地よさを見つけて、この場所にたどり着きましたが、地球規模で人口が増加していくなかで、自然破壊や大量廃棄を止めればみんな(日本人だけでなく)が豊かになるとは思えませんし、じゃあ人間がいなくなればいいのではないかという主張も違和感を感じます。
その国の文化や経済や、世代や環境によって、人の価値観・考え方は異なりますから、調査もせず知識もないのに論じることは困難です(言論を諦めているわけではありませんが、私は言論者ではありません)。

私はデコントラクティーのコンセプト(軸)はぶらしませんので、結果的に大量生産はしませんし、共感をしていただける方に買っていただければいいと思っています。
たとえ反論されたとしても、自分の意見が言える自然な状態でクリエイションができます。
それが心地いいのです。

1STコレクションから1年がたち、未だ新型が量産できておりません。
これも、心地よくない手段が大量にあるなかで、デコントラクティーとしてのコンセプトをぶらさなかった結果です。
だからこそ、2NDコレクションを期待していただければと思います。



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