東京には様々な土地がありますが、都会の町でも似ているようで違います。
どちらかといえば東京の西は住宅街なので画一的ですが、山手線周辺～東側は面白い町が多いです。
そんな中でも僕のインスピレーションは新宿です。デコントラクティーの撮影でもよく使っています。
新宿といえば歌舞伎町ですが、治安が悪くイメージがよくないので近寄りがたい。
でも、町の活気レベルとしては日本の中でも稀有な場所だと思います。
混沌としているし、老若男女が集まる場所です。
欲望が渦巻いていて、昼より夜のほうが勢いがある。
真面目で清潔な人間は興味が沸かないかもしれませんが、人間という生き物は所詮欲深いものなのです。
歌舞伎町に集まる欲望がとても人間らしくて愛おしいです。自分の鏡みたいなものでしょうか。
闇市だった場所が今はバーだらけのゴールデン街は歌舞伎町の中でも非常に面白い場所です。
歌舞伎町の端っこに位置しますが、外国人観光客も多い場所なので、自由な雰囲気を感じます。
ゴールデン街は一見さんが入りづらいお店が多いですが、最近は店も世代変わりしていて若返っています。
メニューがあるお店も増えているので、名良会計で安心して飲めるエリアになっています。
歌舞伎町ではないですが、新宿西口にある思い出横丁もいい雰囲気の場所です。
ゴールデン街より道が狭く小さいので人とすれ違うのが大変ですが、料理がおいしい店も多く人気があります。
ファッションのことを考えるときは新宿より高円寺ですが、新宿は人間模様が勉強になる町です。
結局服は人様が着るものですので、人がどう感じていて、何が必要なのかを会得しないとものづくりはできないわけです。
ヒントが落ちている瞬間はほとんどなく、いい酒を飲んで楽しくなっているケースがほとんどですが、
おしゃれな人も、そうじゃない人も、愉快になる時間とはこういうことで、稀に服がお役に立つときもあると僕が世間に認められたなと感じる大切な時があります。
今年は歌舞伎町タワーが完成するので、歌舞伎町の雰囲気も変わっていくのかもしれません。
町がきれいになったとしてもトーヨコのように若者がたむろっている場所が自然と生まれたりするので、
歌舞伎町に求められる混沌はずっと残るんじゃないかなあ。
建物が古かったり、様々な大人の事情で再開発した人がいるんでしょうけど、僕は新宿の憩いの場所がずっとなくならないといいなと思います。
decontractee director ito
